静けさの中に色気を感じる香り― リキッドイマジネール「イル プールプル」レビュー ―

香りは、気分を切り替えるための“スイッチ”だと思っている。
匂いフェチの私は、香水を「まとうもの」というより、「空間ごと自分を変えるもの」として捉えている。
ミニマリストらしからぬ本数を持っているのも、時間帯や心の温度に合わせて香りを変えたいから。
そんな幾つかある香水の中で今回紹介するのが、
Liquides Imaginaires(リキッドイマジネール)の「Île Pourpre(イル プールプル)」だ。
目次
■ 香りという名の物語をまとうブランド
リキッドイマジネールは、フランス発のニッチフレグランスブランド。
香りを「匂い」ではなく「液体の想像力(リキッド・イマジネール)」として表現している。
美術品のようなボトルデザイン。
どこか宗教的で、哲学的。
日常のすき間に、そっと非日常を忍ばせてくれるような存在だ。
■ “紫の島”という幻想と香り
Île Pourpre(イル プールプル)は、
“紫に染まる島へと人々が引き寄せられた”という古代の伝承から着想を得ている。
その香りは、静かでありながら官能的。
落ち着いているのに、どこか記憶に残る。
■ 香調|アロマティック × スパイシー × フルーティー × ウッディ
トップノート
・シソ
・アンジェリカシード
・インセンス
・イタリアンベルガモット
・ジンジャー
▶ スモーキーでハーバル。冷たい静けさの中に、微かに熱を感じるスパイス感。
ミドルノート
・ブラックフィグ(黒イチジク)
・フェヌグリーク
・ダヴァナ
・アイリス
▶ 熟した果実とスパイスの甘みが溶け合い、“紫の島”の幻想が立ち上がる。
ベースノート
・シダーウッド
・パチョリ
・カシュメラン
・アンブロキサン
・エチルレイトン
▶ ウッディでややミルキー。肌に溶け込むように静かに残り香を引いていく。
■ どんなときに使いたくなるか
この香水は、誰かに会うための香りではない。
むしろ、「自分の気配を整える」ために手に取りたくなる。
- 夜の読書時間
- 人のいない深夜のジム帰り
- 雨音が響くカフェ
- 一人旅の車窓から外を眺めるとき
主張はしない。けれど、確かに“そこにいる”。
香りというより、空気のレイヤーに近い存在感。
■ 使用感メモ(参考)
- 持続時間: 6〜8時間(体感)
- おすすめ季節: 秋・冬
- ユニセックス使用: 可
- 好み: スモーキーやウッディ系が好きな人に◎
- TPO: 静かな夜、一人の時間、瞑想や内省系ムードにマッチ
■ 商品情報(2025年6月時点)
- ブランド: Liquides Imaginaires(リキッドイマジネール)
- 商品名: Île Pourpre(イル プールプル)
- 容量: 50mL/100mL
- 価格: 18,700円〜28,600円(税込)
- タイプ: オードパルファム
- 販売店: meeco(伊勢丹)、loungesai、NOSE SHOPなど
■ 香りで“ひとり”を肯定する
「誰かに印象づけるための香水ではない」という点が、私にとっての最大の魅力だ。
自己表現ではなく、自己内省のための香り。
他者とのコミュニケーションではなく、自分との対話のために身につけるもの。
孤独が好きなわけじゃない。
でも、孤独の中にこそ、豊かさがあると私は思う。
Île Pourpreは、その“静けさの豊かさ”を思い出させてくれる一本。
以上、私が愛用している一つ目の香水でした。
